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土圧への耐力不足で倒壊した三重県名張市桔梗が丘西6番町2号調整池の東側たて壁。応急土留め後の2021年6月11日時点の状況(写真:名張市)
土圧への耐力不足で倒壊した三重県名張市桔梗が丘西6番町2号調整池の東側たて壁。応急土留め後の2021年6月11日時点の状況(写真:名張市)
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 三重県名張市の調整池で起こったたて壁の倒壊は、基部の鉄筋量不足が原因だったと判明した。調整池を管理する市が2021年8月17日、市議会に報告した。調整池は大林組が設計と施工を手掛け、1994年に完成。同社が無償で復旧・補強工事を実施する。

東側のたて壁が倒壊した直後の2号調整池の様子。2021年5月28日に撮影(写真:名張市)
東側のたて壁が倒壊した直後の2号調整池の様子。2021年5月28日に撮影(写真:名張市)
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 現場は名張市役所から北へ2kmほど離れた桔梗が丘西6番町にある住宅団地内の「2号調整池」(内寸:25.5×21×5m)だ。住宅団地の開発を手掛けた野村不動産が、大林組に設計と施工を一括発注。開発許可権者である三重県の審査や検査を受けて完成した。98年以降は市が管理している。

 2021年5月28日未明、高さ5mの東側のたて壁が、基部の破断により延長18mにわたって倒壊した。当時の水深は約50cmで、周囲への水の流出はなかった。

 前日の27日は雨だったものの1時間当たりの最大降雨量は6mmにすぎず、25日と26日は雨が降らなかった。そのため市は、倒壊の原因が降雨ではないと判断。県建設技術センターの協力を得て、設計図書や構造計算書のチェック、構造計算書と施工図との照合などを進めた。