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NEJM誌から
WHOが行ったSolidarity試験の中間解析論文
レムデシビルを推奨しない理由とされ、論議を招いた試験結果

 WHO Solidarity Trial Consortiumは、2020年3月に開始したオープンラベルのランダム化比較試験で、抗ウイルス薬候補4剤(レムデシビル、ヒドロキシクロロキン、ロピナビル、インターフェロンβ-1a)がCOVID-19入院患者の死亡率を減らすことができるかを調べていたが、1253人の死亡が報告された時点までの中間解析を行い、どの薬も死亡率を減らせていなかったと報告した。結果は2020年12月2日のNEJM誌電子版に掲載された。

 Solidarity試験は、ある候補薬がCOVID-19患者に有効ではないと判断されれば、その薬の試験を打ち切り、次の候補薬を試験の対象に加えられるようデザインされた。これまでにヒドロキシクロロキン、ロピナビル、インターフェロンβ-1aについては有効性が確認できなかったため、それぞれ6月19日、7月4日、10月16日に試験が打ち切られている。代わりに、免疫修飾薬や抗体医薬の候補が加わって、Solidarity試験は現在も進行中だ。

 今回の論文では、抗ウイルス薬4剤に関する中間解析の結果が報告された。組み入れ対象は18歳以上のCOVID-19入院患者で、30カ国の405施設が参加している。他の疾患の治療用として承認されており、理論的にCOVID-19にも有効な可能性がある抗ウイルス薬候補4剤のうち、その地域で利用可能な薬剤のいずれか、または標準治療のみの対照群にランダムに割り付ける設計になっていた。

 主要評価項目は院内死亡とし、分析はintention-to-treat法で行った。副次評価項目は、機械的換気の開始と入院期間に設定した。

 2020年3月22日から10月4日までに計1万1330人が試験に参加した。このうち64人は追跡できなくなったため、1万1266人が評価対象になった。対象者の81%が年齢70歳未満で、62%が男性、25%は糖尿病があり、8%は組み入れ時点で機械的換気を受けていた。このうち2750人はレムデシビルに、954人はヒドロキシクロロキンに、1411人をロピナビルに、2063人はインターフェロンβ-1aに(651人はインターフェロンとロピナビルを併用)に割り付けられた。4剤を使用せず標準治療のみを受けた対照群は4088人だった。

 割り付け薬の投与期間半ばの時点のアドヒアランスは94~96%の範囲で、2~6%の患者がクロスオーバーを経験していた。

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シリーズ◎新興感染症
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