セミナー紹介

 燃費・CO2排出規制の強化が予定される中、実用化が進み始めているのが自動車電源の48V化です。本格的な近年の自動車電源の変革は、クルマの電動化に伴い、モーター出力(kW)の増大と高電圧化の方向にあります。例えば、48Vマイルド・ハイブリッド・システムは、従来の12V電源を用いたマイルド・ハイブリッド・システムと比べて、エンジンの駆動力をアシストするモーターの出力を高められる上、モーター走行やエネルギー回生の領域を拡大したり、高電圧化による電流値の抑制を通じて配線や補機類を小型化したりすることで燃費・CO2排出量の改善が期待できます。また、直流(DC)48Vは、国際安全規格(DC60V)内に入り、車両搭載や電源システム構築上優位となります。2016年から欧州カーメーカー(独)を中心とする「48V電源システム搭載車」の量産化、本格的な市場導入が注目されます。今後、「48V」は世界の自動車変革〔CASE(コネクテッド;Connected、自動運転;Autonomous、シェアリング;Sharing、電動化;Electric)〕を電源プラットフォームから支える、重要な構成要素となり得ます。

 自動車電源48V化のベースとなる技術は、既に20年程前から「MITコンソーシアム」などを通じて日米欧のカーメーカー・サプライヤー・大学が蓄積してきており、2001年の42Vマイルドハイブリッド車(マイルドHEV)につながっています。その後、パワーエレクトロニクスの進化〔リチウム(Li)イオン電池、モーター技術、炭化ケイ素/窒化ガリウム(SiC/GaN)パワー半導体〕と環境規制の強化が続き、Liイオン電池を活用した48V化の実用化が始まっています。

 クルマの電動化で大きな節目となったのは、トヨタ自動車の量産ハイブリッド車(HEV)「プリウス」〔ニッケル(Ni)水素電池:288V〕の発売(1997年)です。それ以来、クルマの電動化への動きはどんどん加速しており、車載電池の進化とともに自動車電源システムの変革が進んでいます。

 もっとも、自動車電源への48Vの適用はシステムの改良が必要となる上、コストアップが避けられません。そこで、重要になってくるのが、ユーザーにアピールする適用方法を模索することです。本セミナーでは、42VマイルドHEVを世界で初めて開発した元トヨタ自動車の寺谷達夫氏に、「なぜ48Vなのか」「どこに48Vを使うべきなのか」「48V化を進める上でどのような点に留意すべきなのか」など、自動車の48V化の勘どころを解説してもらいます。


受講効果

 チェック 実際にマイルドHEVの開発をリードした講師がその経験を踏まえて指南。
 チェック 過去の経緯を含めて48V化の意義、自動車電源の進化と将来展望を学べます。
 チェック 48V化の効果的な使い方や適用の留意点など、実践に役立つ勘どころも解説します。
 チェック 最新の「世界の48V化動向」を分析、今後の技術トレンドを解説します。

開催概要

セミナー名 世界で広がる自動車電源48V化の最新動向とポイント
日時 2020年 2月 27日(木) 10:00~17:00(開場 9:30)
会場 東京・新橋
Learning Square新橋 6F
JR・都営浅草線・東京メトロ銀座線 「新橋駅」 徒歩2分
受講料

49,800円(税込み)

定員 60名
※最少開催人数(15名)に満たない場合は、開催を中止させていただくことがあります。
主催 日経 xTECH、日経Automotive

講師紹介

寺谷 達夫(てらたに たつお)氏
名古屋大学大学院工学研究科 非常勤講師
元トヨタ自動車 主査

寺谷 達夫<span class="fontSizeS">(てらたに たつお)氏</span>

1974年、トヨタ自動車工業(現トヨタ自動車)に入社。1992年以降、同社ホデー設計部次長、第1電子技術部主査、技術企画部主査、第2電子開発部主査を歴任し、2012年に同社を退職。同社在職中に世界初の42Vマイルドハイブリッド車である「クラウンマイルドハイブリッド」(2001年8月発売)の開発を手掛ける。また、2007年から名古屋大学大学院工学研究科非常勤講師を務める。電気学会フェロー、自動車技術会フェロー。

プログラム

❶ なぜ48Vなのか?

  1. 背景(強化される環境規制、軽くならない車両)
  2. 自動車電源の歴史と48V化の位置付け
  3. 48V化の利点とは
    • 12V電源システムにおける課題
    • 48V電源システムとは
    • 48V電源システムがもたらす効果
    • 42V電源システムとの違い
  4. 欧州メーカーの狙いと動向
    • 欧州はなぜ48Vを推進するのか
    • 48V化アライアンスの狙い
    • ドイツ自動車工業会の品質管理規格「VDA320」とは
    • 48VマイルドHEVのストロングHEVとの違い
    • 欧米の48V化最新動向について
  5. 48V化の標準化・規格化
  6. 日本メーカーが48V化に取り組むメリットとは
    • アンダー60V電源プラットフォームの再構築に向けて
      (大型車から小型車・軽自動車・パーソナルモビリティーまで)
    • 先行するHEV、PHEV、EV、FCEVでの活用
  7. クルマの多様化と電源インフラの再構築

❷ どこに48Vを使うべきか?

  1. 48V化の対象範囲とは
    • マイルドHEVとしての活用
    • 高電圧化による走行性能や安全性、快適性の向上
    • 高電圧化による電線の細径化、部品の小型化と、それによる軽量化
  2. 48V電源システムの課題はコストパフォーマンス
    • 商品企画力とキラーコンテンツ
  3. 消費者にアピールする使い方とは
  4. 電源ジグソーパズルの最後のピース

❸ 48V化は普及するか?

  1. 普及の抵抗勢力 vs 加速の新戦略
  2. 実用化、普及段階に入った欧州カーメーカー
  3. 続々と登場する「48Vサポーター」
  4. 日系カーメーカーの対48V戦略は?

❹ 48V化を進める上での留意点

  1. 42V化(18年前)での教訓
  2. 48V化技術課題(アーク、ノイズ、リーク対策)への対応
  3. 安全面からの留意点

❺ 今後の展望

  1. 自然災害大国(日本)の視点から
  2. エネルギーの視点から
  3. 電動化・自動運転の視点から
  4. 最近の国際会議&展示会から
※プログラム内容・講師は予告なく変更になることがあります。予めご了承ください。

【お申し込み注意事項】

  • ※満席になり次第、申込受付を締め切らせていただきますので、お早めにお申し込みください。
  • ※お申し込み後のキャンセル、ご送金後の返金はお受けいたしかねます。申し込んだ方の都合が悪くなった場合は、代理の方が出席くださいますようお願いいたします。
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