全649文字

 長期化する新型コロナウイルス感染拡大。世界中で進む、SDGs(持続可能な開発目標)への取り組み。産業構造が大きく変化する中で、2022年に飛躍が見込まれるのはどんな業界なのか。『日経業界地図 2022年版』から、要注目分野の「業界地図」を紹介する。今回は、ウッドショックで注目度が高まる「木材」をめぐる業界地図を見ていこう。

「木材」のポイント
  • 政府は2050年の脱炭素目標に向け、森林と木材を最大限活用する方針
(注)図は、主な木材加工・流通の概観。林野庁の資料をもとに作成
(注)図は、主な木材加工・流通の概観。林野庁の資料をもとに作成
[画像のクリックで拡大表示]

 日本の森林面積は国土の3分の2に及び、2020年における森林率は経済協力開発機構(OECD)加盟37カ国で3番目に高い。森林は光合成の過程で二酸化炭素(CO2)を吸収し、森林から伐採される木材は燃やさない限り炭素を貯蔵し続ける。政府は50年の脱炭素目標に向け、森林と木材を活用する方針を掲げた。SDGsやESG投資の観点からも、国内外で木材ビジネスへの期待は高まっている。

2030年への展望

 「川上」となる林業は、これまで産業化が遅れていたが、森林経営管理制度や森林環境税をベースに、森林資源を適正に管理・利用する新たな担い手育成の取り組みが始まった。

 「川中」となる木材産業では、CLT(直交集成板)など付加価値の高い製品の開発やサプライチェーンの構築が進む。

 「川下」となる建築業では、戸建て住宅だけでなくオフィスやホテルなど非住宅分野でも、法改正を追い風にした技術革新で木造の建築物が続々と建てられている。住友林業は70階建ての超高層木造ビルを41年までに建設する構想を発表した。