総合建設会社はその名の通り、大手ならばほとんど全工種の建設工事を手掛けている。もっとも土木や建築の技術系社員は、特定の専門分野の工事を担当し、その分野のスペシャリストになっていくのが一般的だ。
大林組の吉田健一氏(36)の場合、その専門は当初、トンネルだった。2009年4月に入社し、10年10月から6年半にわたって道路や水路のトンネル工事現場を渡り歩き、施工管理を担当した。やがて社内で「吉田もこれで立派な“トンネル屋”だな」などと言われるようになった。
しかしその評価に、吉田氏は強い違和感を覚えた。トンネルに慣れるのが嫌だったわけではなく、より根源的な理由からだ。「自分は特定の専門分野を究めて○○屋と呼ばれるようなタイプではない。もっと自由にいろいろな仕事に挑戦したい」