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 トヨタ自動車は2022年2月9日、21年度通期(21年4月~22年3月)の世界生産台数が850万台まで落ち込む見通しだと発表した。前回計画(21年11月公表、以下同じ)の900万台に比べて50万台減る。車載半導体を含む部品不足の影響が続いている。

 トヨタは22年1月18日時点で、半導体不足による生産調整(減産)の影響で、21年度通期の世界生産台数が887万台になるとみていた。その後も半導体不足は続き、新型コロナウイルス変異株(オミクロン型)の感染が同社や取引先で拡大したことで、22年1月以降の減産台数が拡大した(図1)。

21年度通期の世界生産台数(見通し)
図1 21年度通期の世界生産(見通し)
(出所:トヨタ自動車)
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 世界生産計画の見直しに伴い、21年度通期の連結世界販売台数(以下、世界販売台数)を下方修正した。前回計画に比べて30万台減の825万台に設定した。日本や北米、欧州などすべての地域で販売を減らす(図2)。

21年度通期の世界販売見通し
図2 21年度通期の世界販売台数(見通し)
(出所:トヨタ自動車)
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 世界販売台数の下方修正によって、21年度通期の営業収益(売上高に相当)の見通しは、前回計画に比べて5000億円減の29兆5000億円に変更した。ただ、営業利益は前回計画の2兆8000億円を据え置いた。世界販売台数は減るが、収益改善活動や為替の円安を織り込んで、前回計画の維持を目指す。

 なお同日に発表した21年度第3四半期累計(21年4~12月)の連結決算によると、同期の世界販売台数は前年同期比12.1%増の609万6000台である。半導体不足などの生産への影響はあったが、新型コロナ感染症拡大の影響を大きく受けた前年同期に比べると、日本以外のすべての地域で販売台数を増やした。

 21年度第3四半期累計の業績は増収増益である。営業収益と営業利益は、新型コロナ前(19年度第3四半期累計)の実績を上回った。