2021年度上半期(4~9月)は、建設会社の2極化が進んだ。大手企業で建設工事の受注が回復した一方、中小・零細企業では新型コロナウイルスや後継者不足の影響で経営破綻が相次いだ。同期に進行した資材価格の高騰は、業界全体に暗い影を落としている。
国土交通省が21年11月12日に公表した21年度上半期の建設工事受注動態統計調査の集計結果によると、全国約1万2000社の受注高の合計は54兆833億円で、前年同期比で8%増えた。内訳は、土木工事が同4.5%増の15兆9819億円、建築工事・建築設備工事が同12.1%増の33兆218億円、機械装置等工事が同4.7%減の5兆796億円。
土木、建築とも前年同期にコロナの影響で落ち込んだ民間からの受注が回復した。21年度上半期の民間からの受注高は、土木工事・機械装置等工事(1件500万円以上)が前年同期比で1.3%増の3兆9619億円。建築工事・建築設備工事(1件5億円以上)が同21.6%増の4兆8902億円。いずれも、前年同期の落ち込みが大きかった製造業からの受注が大幅に伸びた。土木は同34.2%増の1兆2620億円、建築は同21.9%増の8479億円だった。
同様の傾向は、日本建設業連合会の会員調査にも表れている。会員95社の21年度上半期の受注高の合計は6兆2230億円で、前年同期比で13.4%増えた。そのうち、土木は同4.2%増の1兆9269億円、建築は同18%増の4兆2962億円。国内の民間からの受注は土木が同2.5%増の6809億円、建築が20.1%増の3兆6962億円だった。土木と建築を合わせた製造業からの受注は8441億円で、同17.9%増えた。
倒産状況の改善も続いている。東京商工リサーチによると、21年度上半期の建設業の倒産件数は527件で、前年同期比で6.7%減った。上半期としては13年連続で減少し、過去30年間で最少を記録した。全産業の倒産件数も同23.8%減の2937件と、過去50年間で最も少なかった。国や自治体による資金繰り支援などが奏功したとみられる。