医療系スタートアップのCureApp(キュア・アップ)が開発した「CureApp HT高血圧治療補助アプリ」が9月1日付で保険収載される見通しとなった。厚生労働省の中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関、中医協)が8月3日、保険適用を了承した。治療用アプリの保険収載は2例目となる。

 同アプリは、高血圧症を抱える成人患者に対し、個別に行動変容を促し、生活習慣の修正により降圧効果を得ることを目的としたプログラム医療機器。血圧の記録や生活習慣ログを基に、塩分の過剰摂取や運動不足などの行動改善を働きかけるメッセージを表示する。医師の処方に基づき、患者がスマートフォンなどにダウンロードして使用する。

 保険点数は、治療開始時に1回に限り140点、初回の使用から6カ月を限度として、月1回に限り、830点算定できる。1点は10円のため、初回が9700円(1400円+8300円)、2回目以降が8300円で、3割負担の場合はそれぞれ2910円、2490円となる。

 今回、保険点数のつけ方には注目が集まっていた。治療用アプリで先行して保険適用されたのは同じくCureAppが開発した禁煙治療用アプリの(商品名「CureApp SC ニコチン依存症治療アプリ及びCO(一酸化炭素)チェッカー」)。こちらはアプリと呼気中の一酸化炭素(CO)を測定する携帯型のデバイスとセットで利用する。2020年12月の保険収載時には、他の診療報酬項目を「準用」する形で計2540点がついた。

 「準用」とは、全く異なる医療行為ではあるが点数の付け方に関する考え方が類似しているものを使う場合を指す。治療用アプリは新しい治療法のため、本来であれば新たな診療報酬項目を設ける必要があるものの、2022年度診療報酬改定まで暫定措置として、一番近似している点数で算定することになった。

 準用点数の内訳は、(1)在宅振戦等刺激装置治療指導管理料注2 導入期加算 140 点、(2)疼痛等管理用送信器加算 600 点 4回分。(1)は、患者が自分の意思に反して手足が震えてしまう(振戦)等の不随意運動を示す際、脳深部等に振戦軽減のための装置を植え込んで指導を行う場合に、初回に限り在宅振戦等刺激装置治療指導管理料に上乗せして算定できる点数。(2)は、在宅療養患者の疼痛除去等のために装置を植え込んだ後、疼痛管理のためのプログラムを送信する機器類を使用した場合に、在宅療養指導管理料に上乗せして算定する点数。いわば、(1)が患者への導入教育に対して算定する点数で、(2)が機器使用代に相当する格好だ。

 その後、2022年度診療報酬改定で、「禁煙治療補助システム指導管理加算」が新設され、治療用アプリを用いた禁煙治療を行った場合、治療用アプリに関する指導管理加算として140点、治療用アプリを使用したことによる禁煙治療補助システム加算として2400点を加算することになった(加算の合計は2540点で、準用技術料と同じ点数)。