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国内でも“老舗”といえるインターナショナルスクールが、創立100年を前にキャンパスを移転した。新校舎の基本設計を担当した隈研吾氏は、1つ屋根の下に多様な居場所がある家のような学校を提案した。

 横浜インターナショナルスクール(以下YIS)には、約50カ国から集まる3歳から18歳の子どもたち約750人が通う〔写真1〕。1924年の創立以来、横浜・山手の「港の見える丘公園」近くにあったが、旧キャンパスが手狭になったことや老朽化のため移転。2022年1月に開校した。

〔写真1〕学びと視線が交差する開放的なオープンハブ
〔写真1〕学びと視線が交差する開放的なオープンハブ
学校のコンセプトを象徴する、2層吹き抜けの「オープンハブ」。1階の教室(写真右)、や2階のライブラリー(写真左)と一体的になった空間だ。隈研吾氏にとっては初めてとなるインターナショナルスクールの設計。海外での学校建築の経験が豊富な設計室長やインターナショナルスクール出身の主任技師といった布陣で挑んだ(写真:安川 千秋)
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 新天地は同市中区の新本牧地区で、戦後米軍に接収されて横浜海浜住宅があった場所。返還後に土地区画整理事業を行った一角だ〔写真2〕。新キャンパスの基本設計は隈研吾建築都市設計事務所(東京都港区)、実施設計は大成建設が担当した。

〔写真2〕楽しい雰囲気が屋外にも表れる配置計画
〔写真2〕楽しい雰囲気が屋外にも表れる配置計画
写真左に教室群が入る北棟、右に体育館やプールが入る南棟が写る。大成建設設計本部の松浦有子プロジェクト・アーキテクトは、「国内の学校では重視されがちな“常識”を覆す面白さがあった」と振り返る(写真:安川 千秋)
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配置図
配置図
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