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 清水建設とソニーグループは2021年12月14日、建設現場の巡回や監視といった施工管理業務の効率化を目的とするロボットの共同実験を開始したと発表した。

 実証実験は、清水建設が現在施工している「虎ノ門・麻布台プロジェクト(虎ノ門・麻布台地区第一種市街地再開発事業)A街区」に立つ予定のタワービルで行う。段差や開口、障害物などがある建設現場で、ソニーグループのR&Dセンターが開発している移動ロボットの検証機を実際に動かし、性能評価や技術検証をする。

ソニーグループが開発している「6脚車輪構成」の移動ロボットの検証機(写真:清水建設、ソニーグループ)
ソニーグループが開発している「6脚車輪構成」の移動ロボットの検証機(写真:清水建設、ソニーグループ)
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 ソニーグループが開発している移動ロボットの検証機は、黒っぽいボディーをしている。サイズは高さが720~1220mm(500mmの可変ストローク)、長さが912mm、幅が672mm。機体の総重量はバッテリーを含めて、89kg。

 脚を使った移動と車輪移動の両立を目指した「6脚車輪構成」になっている。整地と不整地が混在する建設現場のような環境でも、常に安定して効率よく移動が可能だという。

 前脚が3本、後ろ脚が3本のような形をしている。各脚に付いた車輪で平らな場所を素早く走り、段差があると脚を持ち上げて上り下りする。

 最大移動速度は、1.7m/秒。ロボットの脚部にかかる負荷を分散するメカ構成を採用し、20kgの荷物まで運べる可搬重量を実現している。

 実験期間は、21年11月から22年6月までを予定している。移動ロボットのハードとソフトの両面の性能評価や技術検証を行う。

 移動型のロボットといえば、米ボストン・ダイナミクスの四脚歩行ロボット「Spot(スポット)」が有名だ。Spotは四脚で、建設現場の階段や土木現場の法面(のりめん)を上り下りできる。竹中工務店や鹿島などが建設現場での検証に力を入れている。

 後発となるソニーグループの移動ロボットに勝算はあるのか。国産ロボットの行方が注目される。