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 木材の仕入れから加工までを一手に手掛け、住宅業界の「インフラ」として勢力を広げてきたプレカット会社。業界最大手のポラテック(埼玉県越谷市)で専務取締役を務める北大路康信氏は、「ポラテックと継続的に付き合うことが、最上のウッドショック対策だと言ってもらえるようになりたい」と語る。業界の重鎮として知られる北大路専務に、木材の品不足や価格高騰をもたらしたウッドショックの先行き、国産材が抱える課題を聞いた。(聞き手は荒川 尚美)

ポラテックの北大路康信専務取締役。1972年東京大学農学部林学科卒業、ニチメン入社。同社木材部部長を経て、1998年にポラテック入社。プレカット部長を務めた後、現職(写真:日経クロステック)
ポラテックの北大路康信専務取締役。1972年東京大学農学部林学科卒業、ニチメン入社。同社木材部部長を経て、1998年にポラテック入社。プレカット部長を務めた後、現職(写真:日経クロステック)
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ウッドショックの影響はいつまで続くとお考えですか。

 「ウッドショック」という言葉は、私はあまり使いたくない。海外のサプライヤーとは3カ月先の納材契約を結んでいますが、木材がどこにも無くて買えないという状態ではないからです。2021年6月までは、住宅会社からの受注を前年実績の8割に制限する現在の措置を続けるつもりですが、7月以降は状況を見ながら制限を解除していきたいと考えています。

 輸入材の供給不足が起こった原因の1つは、海上輸送用のコンテナの不足です。5月の終わりごろから輸入材を積んだコンテナが日本に到着しはじめ、6月は通常と変わりなくなりつつあります。まだ若干の遅れはありますが、もうすぐ、おおむね正常に戻るとみています。

 輸入材の供給不足を引き起こしたもう1つの原因は、欧州のサプライヤーが日本向けの輸出量を減らし、米国向けを増やしていることにあります。日本向けの木材には高い品質が要求されるので製造が面倒であるにもかかわらず、これまで価格が低く抑えられてきましたからね。

 当社が扱う木材の7割は輸入材で、4分の3が欧州、残りが北米とロシアです。輸入材のうち3割は、商社などを介さずに直接買い付けています。海外の需要家に負けてはいられないので、4月から値上げをのんででも買い進めてきました。19年にフィンランドのヘルシンキに設置した事務所が、今回の事態で大いに役立ってくれました。

輸入材の価格はいくらまで上昇すると予想しますか。

 私は約50年間、木材に携わってきましたが、木材価格がこれほど高騰した経験はありません。石油ショックの時以上です。20年末に5万円/m3だったレッドウッド集成材の輸入価格が、21年6月には8万円/m3になりました。この先も毎月1万円単位で上がり、8月に10万円/m3になるのはほぼ確実だとみています。

 そんな状況ですから、営業担当者には、価格を上棟日になるべく近い日に決めるよう徹底させています。早い段階で価格を決めて、後に変更となるとトラブルになりやすいからです。