東京都東部を流れる荒川の堤防で弱部となっている鉄道橋との交差部について、かさ上げの完了予定が従来の2024年度から37年度に延期された。用地取得の範囲を縮小するため、橋の架け替えルートを現在の橋により近い位置へ変更。切り替え工事を多段階に分ける必要が生じて工期が延びた。事業費は364億円から730億円へと倍増した。国土交通省関東地方整備局が21年12月1日に明らかにした。
架け替えルートを変更したのは、荒川を挟んで西側の足立区と東側の葛飾区を結ぶ京成本線荒川橋梁だ。葛飾区側の堤防では、鉄道と交差する箇所が周辺よりも約3.7m低く、計画高を満たしていない。増水時には、交差部からの越水によって堤防が決壊する恐れがある。そのため、関東地整では堤防の交差部をかさ上げする目的で、荒川橋梁を現在の橋の北側に架け替える事業を進めている。
事業延長は、京成関屋駅から堀切菖蒲園駅までの1474m。そのうち橋を架け替える河川部の延長は534mだ。両側のアプローチ部は、足立区側が530m、葛飾区側が410mとなっている。
当初は新橋を建設してから線路を一括で切り替えられるよう、現在の橋から北側に20m程度の離隔を取って架け替える予定だった。しかし、用地取得の範囲をできるだけ小さくしてほしいとの地元の強い要望を受けてルートを変更。架け替えルートを現在の橋の15m北へと当初計画よりも5mほど近寄せ、取得用地の面積を約7000m2から約3600m2へとほぼ半減させた。その一方で、アプローチ部では工程を何段階にも分け、線路を切り替えながら新ルートを建設する必要が生じ、工期が延びた。
関東地整では、変更後のルートに基づく詳細設計を20年度に進めていた。詳細設計が終わって工期や事業費の見込みが立ったため、事業の再評価を実施。12月1日に開いた有識者による「荒川水系河川整備計画フォローアップ委員会」(委員長:田中規夫・埼玉大学大学院教授)で評価結果を示し、承認を得た。