Q.大手IT企業に勤めているSE(女性)です。打ち合わせで交通の不便な顧客先へ行きます。駅からバスはあっても不便なので、マイカーで来るメンバーに乗せてもらったりしています。当社はマイカー通勤禁止ですが、誰もそのことに触れません。ある先輩(既婚者)から「自宅から顧客先まで送迎してあげる」とLINEメッセージがよくあります。何度も断っているのですが、同じ職場なので気を使います。ハラスメント問題になったとき、一般的に会社はどういう対応をするのでしょうか。

 何度も断っている、その応答から嫌がっていると先輩社員は察してほしいものです。さらに既婚者とのこと、もっと襟を正さなければなりません。

 マイカー通勤禁止の会社です。当然、業務利用にも禁止のはずです。マイカーを利用してはいけないと、部門長から明言してもらってはいかがでしょうか。

部下のマイカー利用を黙認なら上司失格

 地域や職種によっては、マイカーの利用を許可制で認めている会社があります。きちんとした会社は、そのためには車検証、任意保険の補償内容や免許証のコピー、道路交通法などを順守する誓約書などを社員に提出させます。マイカー通勤の許可申請も同様の運用です。質問者の勤務先は大企業なので、厳格な運用ルールのはずです。

 仕事で必要なときは、マイカーではなく社有車を使用させるべきです。保険の補償範囲も分かっていて、ドライブレコーダーも装備しているので安心です。

 SEやプログラマーなどIT企業の社員は内勤であり、外回りの仕事ではありません。日ごろの仕事で、マイカー利用の想定はしていません。バスやタクシーもある地域であれば、禁止は当然です。勝手なマイカー利用はいただけません。同僚の車に乗るのもよくないです。

 部門長やプロジェクトリーダーは、部下のマイカー利用を知らないだけかもしれません。もし知っていて黙認しているのであれば、最悪です。上司失格です。

マイカーの業務利用は禁止だという理由

 交通事故で大きなケガや死亡につながったり、社員が加害者になったりすることもあります。社員が業務上で不法行為により第三者に損害を与えた場合は、会社にも賠償責任が及びます。これを「使用者責任」といいます。さらに交通事故の場合は「運行供用者責任」も発生します。

 運行供用者責任は、自動車損害賠償保障法の3条に「自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によって他人の生命又は身体を害したときは、これによって生じた損害を賠償する責に任ずる」 とあります。

 質問者のケースにあるマイカーの業務利用は、会社のために行われていたと考えられます。運行供用者責任も問われる可能性が高いです。会社にも責任が生じるので、禁止や許可制にしているのです。

 「交通事故を起こしても自分の責任で処理する」と反論する社員もいます。そういった身勝手な言い分は、社外の関係者に通用しません。

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