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 トヨタ自動車は、2030年に世界で販売する電動車を800万台に増やし、そのうち電気自動車(EV)と燃料電池車(FCV)を200万台にする目標を、2021年5月12日の決算会見で示した。電動車はハイブリッド車(HEV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)を含む。

決算会見の様子
決算会見の様子
(出所:トヨタ)
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 30年の電動車比率を日本で95%、北米で70%、欧州で100%に高める。このうち、EVとFCVの比率を日本で10%、北米で15%、欧州で40%にする。中国に関しては35年にNEV(新エネルギー車)と省エネ車を100%、NEVを50%にする目標を示した。

30年にEVとFCVを世界で200万台販売
30年にEVとFCVを世界で200万台販売
(出所:トヨタ)
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 これを実現するためには、「電池の供給量を現在の年間6GWhから30倍の180GWhに増やす必要がある」(同社執行役員Chief Communication Officerの長田准氏)。EVの生産ラインに換算すると、「現在の2ラインを30倍の60本に増やす必要があり、積極的に投資する」(同氏)という。

 同社執行役員Chief Production Officerの岡田政道氏は、「過去20年以上にわたり、HEVを累計1700万台造ってきたが、そのHEV用電池の30倍を今後10年で造っていくことになる」と説明した。

 課題となる電池の調達については、「パートナー企業との連携を強化し、材料の調達から生産、供給体制まで万全にしていく」(岡田氏)と述べる。また、パナソニックとの合弁で設立した電池子会社のプライムプラネットエナジー&ソリューションズ(PPES)やプライムアースEVエナジー(PEVE)では、「原単位の小さなラインで短いリードタイムを実現し、小刻みに造っていく。そのために、設備についても必要なものは内製する」(同氏)という。

 全固体電池などの新しい電池技術にも積極的に投資する。現状では全固体電池については開発途上とする。「現在、材料開発を進めているものの、まだ安全性や耐久性をクリアできる段階にはない。引き続き材料開発を進める」(同社執行役員Chief Technology Officerの前田昌彦氏)という。