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 JR九州と福岡商事(福岡市、当時は福岡綜合開発)、若築建設が販売した福岡市内のマンション「ベルヴィ香椎六番館」で、29本中8本の基礎杭(くい)が支持地盤に到達していなかった問題で、マンションの管理組合は2020年11月8日に臨時総会を開き、六番館の建て替えを決議した。

建て替えが決まったベルヴィ香椎六番館。管理組合は1995年の入居開始直後から販売3社に不具合を訴え続けてきた。2020年に実施した調査の結果を受けて、販売3社は施工不良を認めた(写真:日経アーキテクチュア)
建て替えが決まったベルヴィ香椎六番館。管理組合は1995年の入居開始直後から販売3社に不具合を訴え続けてきた。2020年に実施した調査の結果を受けて、販売3社は施工不良を認めた(写真:日経アーキテクチュア)
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 長年、この問題を担当してきた管理組合の佐々木太特別理事は、「不備を訴え続けて20年以上かかったが、ようやくここまでたどり着けた。当初は建て替えに反対する声も多く、どうなることかと不安だったが決議されてよかった」と語る。

 臨時総会後に販売3社はベルヴィ香椎で会見を開いた。JR九州事業開発本部の澤亀愼司・住宅開発部長は、「六番館の住人には今まで不安と心配をおかけして申し訳なく思っている。今後は、信頼を取り戻せるように誠意をもって対応したい」と話した。

 ベルヴィ香椎六番館では1995年の入居開始直後から、外壁のひび割れや玄関扉の枠のゆがみなどが発生。管理組合が販売3社に不具合を訴え続けてきた経緯がある。管理組合が日本建築検査研究所(東京都渋谷区)に依頼した調査の結果を受けて、若築建設が杭の全数調査を実施したところ、杭の未到達が判明した。

 若築建設の調査結果を受けて、2020年7月に販売3社の社長が謝罪。販売3社は、「杭の補修」「建て替え」「販売価格での買い取り」の3案を管理組合に提示していた。