全1455文字

 一般社団法人飛驒高山大学設立基金は2024年4月に、岐阜県飛騨市に本校を構える四年制私立大学「飛騨高山大学(仮称)」を設立する計画だ。21年11月5日には本校キャンパスの設置予定地である飛騨市古川町で会見し、大学の学長候補と本校キャンパスの設計者、設立する学部の変更を発表した。

 学長候補は、慶応義塾大学医学部教授の宮田裕章氏。本校キャンパスの設計は、藤本壮介氏が代表取締役を務める藤本壮介建築設計事務所が手掛ける。また、大学設立時にできる学部は当初、経済学部を予定していたが、リベラルアーツの教育を視野に入れた「共創学部」に変更する。飛驒高山大学設立基金は22年10月に、文部科学省に対して大学新設の認可申請をする予定である。

学長候補である慶応義塾大学医学部教授の宮田裕章氏(写真:Jan Buus、提供:飛驒高山大学設立基金)
学長候補である慶応義塾大学医学部教授の宮田裕章氏(写真:Jan Buus、提供:飛驒高山大学設立基金)
[画像のクリックで拡大表示]
本校キャンパスの設計イメージ。「開かれた丘」というコンセプトを掲げた(資料:飛驒高山大学設立基金)
本校キャンパスの設計イメージ。「開かれた丘」というコンセプトを掲げた(資料:飛驒高山大学設立基金)
[画像のクリックで拡大表示]

 宮田氏と藤本氏は共に、25年に開催が予定されている大阪・関西万博のキーパーソンだ。宮田氏はテーマ事業のプロデューサーの1人であり、藤本氏は会場デザインプロデューサー。両氏は国家プロジェクトの重責を担う。その開催前年に2人は、開校を目指す飛驒高山大学に学長および本校設計者として関わることになりそうだ。

 飛驒高山大学の特徴は本校キャンパスだけでなく、全国11カ所(21年11月現在)に地域拠点を設け、学びのネットワークを広く構築することだ。様々な立場の人が多様な地域や取り組みを通してつながれるようにする。集める学生は高校を卒業したばかりの人だけでなく、各地域で働く社会人も対象で、広く門戸を開く。想定する学生数は、入学定員が100人、収容定員が400人。

 藤本氏が設計する飛騨市の本校キャンパスは、11カ所の地域拠点を結ぶハブとなる中核に位置づけられる。地域とつながるという大学のコンセプトにおいて、飛騨市もまた地方都市の1つであると同時に、本校キャンパスはつながりの象徴にもなる。

 藤本氏は山に囲まれた飛騨の街と地勢に着目。「山に包まれていることと、その先に開いていることを体感できる校舎をイメージして設計する」(藤本氏)。飛驒高山大学が目指す学びの姿を、本校キャンパスそのもので体現する。

 具体的には、キャンパスの中央に開かれた丘を配置する。「学生や教員、地域の人々が交流しながら、その先の外の世界にも意識が向くようなキャンパスにしたい」と藤本氏はコメントしている。それが白いお皿のような屋根のデザインに表れている。完成イメージでは屋根の上を歩けて、そこで話ができる。しかも屋根には穴が開いている。

お皿のような形をした白い屋根の上を歩けるようにする(資料:飛驒高山大学設立基金)
お皿のような形をした白い屋根の上を歩けるようにする(資料:飛驒高山大学設立基金)
[画像のクリックで拡大表示]
木材の産地である飛騨高山らしい、木を使ったキャンパス内部のイメージ(資料:飛驒高山大学設立基金)
木材の産地である飛騨高山らしい、木を使ったキャンパス内部のイメージ(資料:飛驒高山大学設立基金)
[画像のクリックで拡大表示]