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BMJ誌から
総死亡率が最も低いLDL-c値は140mg/dLか?
20~100歳の一般市民を対象にしたデンマークの大規模コホート研究

 デンマークCopenhagen大学病院のCamilla Ditlev Lindhardt Johannesen氏らは、デンマーク国民を対象とした前向きコホート研究である「Copenhagen General Population Study(CGPS)」のデータを利用して、LDLコレステロール(LDL-c)値と総死亡率や死因特異的死亡率の関係を検討し、総死亡率が最も低くなる濃度は140mg/dL程度と推定した。結果は2020年12月8日のBMJ誌電子版に掲載された。

 LDL-cはアテローム性動脈硬化症と心血管疾患の危険因子で、LDL-c高値は将来のアテローム性心血管イベントを予測することが知られている。また、脂質降下薬に関する臨床試験の多くが、LDL-cが下がればその後のアテローム性心血管イベントのリスクは低下することを示している。しかし、LDL-c低値と総死亡率の関係について検討した研究では、結論が一致していない。また、総死亡リスクが最も低くなるLDL-c値は明らかではなかった。そこで著者らは、一般にデンマーク国民を母集団として、LDL-c値と総死亡の関係を明らかにし、総死亡リスクが最も低いLDL-c値を検討するコホート研究を計画した。

 CGPSは、デンマークの国民登録システムを利用して、コペンハーゲン市在住の年齢20~100歳までの市民をランダムに選んで参加を依頼した前向きのコホート研究だ。2003~15年に呼びかけに応じた10万8243人(参加率43%)を登録して追跡している。参加者はコホート組み入れ時に診察と血液検査を受け、病歴や生活習慣を調べる質問票に回答している。追跡は、参加者の死亡、心筋梗塞、癌、デンマーク国外への移住、追跡終了日(2018年12月)のいずれかまで継続した。

 ベースラインのLDL-c値は、中性脂肪が352mg/dL未満の人はフリードワルド式を採用し、中性脂肪がそれより高い人は直接測定法でLDL-c値を決定した。参加者はLDL-c値によって次の7段階に分類した。5パーセンタイルまで(70mg/dL未満)、6~20パーセンタイルまで(70~92mg/dL)、21~40パーセンタイルまで(93~112mg/dL)、41~60パーセンタイルまで(113~131mg/dL)、61~80パーセンタイルまで(132~154mg/dL)、81~95パーセンタイルまで(155~189mg/dL)、96~100パーセンタイルまで(189mg/dL超)。共変数として、性別、年齢、血圧、喫煙習慣、脂質降下薬使用の有無、糖尿病、癌、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などに関する情報を得た。

 主要評価項目は総死亡に設定、副次評価項目は死因別死亡とし、心血管疾患死亡、癌死亡、それ以外の原因による死亡について検討した。

 中央値9.4年(範囲は0~15年まで)、延べ100万2361人・年の追跡で、10万8243人のうち、1万1376人(10.5%)が死亡していた。死亡時点の年齢の中央値は81歳(範囲は26~106歳)だった。

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