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第3回呼吸器免疫研究会の報告
コロナ重症化制御に最適なステロイド治療とは?

2021/03/10

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬をめぐっては、抗ウイルス薬など多くの薬剤が明らかな有効性を見出さないまま影が薄くなりつつある中で、重症化の本態、サイトカインストームを抑止する薬剤としてステロイドの位置がますます高まりつつある。

 しかしこのステロイド治療については、2020年9月2日改訂のWHOのガイドラインで、種類、量を問わず有効との指針が示されたにもかかわらず、デキサメタゾン6mgのみがエビデンス度が高いとの理由で国内外の指針に採用され、その他のステロイドの使い方については言及されることが少ない。

 だが、デキサメタゾン6mgでは炎症が抑えきれず、より強力な免疫抑制が求められる例も臨床の場では少なくない。国内では呼吸器科医を中心に多くの施設で、そのような例に対して中等量~大量のメチルプレドニゾロンを用いて炎症の制御に取り組まれているが、各施設がそれぞれバラバラに工夫しており、経験を共有し交換する場は、これまでなかった。

 筆者を代表として活動している呼吸器免疫研究会ではこの主題を取り上げることとし、諸方に呼びかけた結果、2月13日、パネルディスカッションを持つことができた(遠隔開催、参加者320人)。パネラーとしては重症COVID-19のステロイド治療に前向きに取り組んでいる都内5施設の呼吸器内科医が参加、それぞれの経験が呈示され(図1)、相互に活発な討論があるなど、わが国で初めてこの主題について一堂に会しての熱い意見交換が行われた。

図1 都内5施設におけるCOVID-19へのステロイド療法の現状

著者プロフィール

1973年東京大卒。癌研究会付属病院(現、がん研有明病院)、結核予防会結核研究所付属病院(現、複十字病院)などを経て、1991年より社会保険中央総合病院(現、JCHO東京山手メディカルセンター)呼吸器内科部長。現在も非常勤ながら臨床の最前線に立ち続けている。

連載の紹介

徳田均の「呼吸器診療、これでいいのか?」
長年、市中病院で呼吸器診療の最前線に立ち続けている徳田均氏が、日々の診療で感じた疑問や問題意識を専門家や研究者にぶつけ、解決策を探るシリーズ。身近な呼吸器疾患に潜むピットフォールや、専門医でなくても知っておきたい呼吸器内科の最新トピックスを対談形式で紹介します。

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