この2年で一般消費者の購買行動は大きく変化し、いわゆる“巣ごもり需要”によって一部の商品/サービスは売上増がみられるものの、不要不急の遊興費、外出自粛に伴う交通費や宿泊費、被服費などの消費支出は大幅に減少し、そのために事業縮小・倒産・廃業に追い込まれる企業も現れている。
そうしたなか消費者の需要を取り逃さず、自社の商品/サービスを選んでもらうため、「カスタマーエクスペリエンス(CX:顧客体験)」の向上に取り組もうという機運が高まっている。
CXはもともと企業のマーケティング施策の一環として2000年以前に登場した概念であり、商品/サービスを購入する前の段階から購入後のサポートまで、購買行動のライフサイクル全般にわたって顧客が体験する、個人の感情も含む“すべて”を指している。とくに商品/サービスのコモディティー化が進んだ現在は、機能・品質・価格に多少の差があったとしても、CXを重視して商品/サービスを選ぶ傾向が強まっている。極端な話、顧客が購入前に相談した問い合わせ窓口の応対が悪いという理由から、その企業の商品/サービスが一切選ばれなくなるといったこともあるほどだ。
さらに昨今、多くの企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、最先端デジタル技術を活用したビジネス変革に取り組み始めているが、そうしたDX推進の観点からも、CX向上は企業にとって重要な位置づけになると考えられている。つまり、企業が激しさを増す競争を勝ち抜いて顧客に選ばれるには、CXの重要性を改めて認識するとともに、CX向上の取り組みを加速させていくことが急務なのだ。
では、CXを向上させるには、どのような取り組みを進めていけばよいだろうか。クラウドサービスを通じてCX向上を実現するコンタクトセンターソリューションを提供するアマゾンウェブサービスジャパン(AWS)に聞いた。