アウトスタンディングテクノロジーは2014年8月18日、LED(発光ダイオード)の明滅によって情報を伝送するネットワーク通信システム「VisiLink」の量産を開始すると発表した。導入形態として、オフィスの天井に設置したLED照明をイーサネットのハブとして使えるようにする製品「無線LANタイプ」などを用意した(写真)。9月に評価版を出荷し、2015年3月に製品版を販売開始する。

写真●可視光通信システムVisiLinkの概要(出典:アウトスタンディングテクノロジー)
写真●可視光通信システムVisiLinkの概要(出典:アウトスタンディングテクノロジー)
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 VisiLinkは、LEDの明滅を信号として使う、可視光ネットワーク通信システムである。従来の電波を用いた通信が抱えている帯域不足や電磁障害、セキュリティなどの課題を解決する技術としている。こうした可視光通信システムの規格は現在標準化の渦中にあり、今回同社は自前の規格を用いて商品化/量産化を図った形である。

 用途に応じて、まずは2種類の製品を用意した。(1)「無線LANタイプ」は、オフィスの天井の照明を使って、複数のパソコンをネットワーク接続する。つまり、天井の照明をあたかも無線LANのアクセスポイントのように利用できる。(2)「FAタイプ」は、工場内や機器組み込みの利用を想定した製品であり、2台の装置間で対向で通信する。

OSからは有線イーサネットアダプターに見える

 VisiLinkを使うにあたり、専用のデバイスドライバーは必要ない。パソコンには、可視光を送受信するためのデバイスをUSBで接続するが、このデバイスは有線イーサネットと可視光をコンバートする機構を備えており、OSからはUSB接続型の汎用の有線イーサネットアダプターとして扱える。

 製品の概要と予定価格(税別)は以下の通り。いずれも製品版の発売時期は2015年3月。これに先立ち、2014年9月に評価版の第1版を、12月に第2版を出荷する。

 (1)の無線LANタイプは、オフィスの天井に設置するLED照明を、イーサネットのハブ(リピータハブ、集線装置)として使えるようにする製品である。構成要素と価格は、天井設置親機(LED照明)が25万円、パソコン側に必要なUSB端末が1万円。通信距離は1メートルから5メートル程度で、通信速度は5M~20Mビット/秒(ベストエフォート)。

 (2)のFAタイプは、工場への設置や機器への組み込みを想定したUSB接続型のボックス型装置であり、2台の装置間で対向で通信する。価格は2台セットで25万円。通信距離は0.1メートルから100メートル程度で、通信速度は1M~100Mビット/秒。